10月下旬、釧路から根室本線で根室に向かった。
1輌だけの車輌は鹿を轢かないよう警笛を鳴らしながら、湿原地帯や原生林を抜けてゆく。
2時間半ほどで根室に着いた。
4時だというのに暗くなりかけている。
港に向かってゆるやかに降りてゆくと「照月旅館」が現れた。
港町にピッタリの昭和を感じる古い旅館だ。
翌日はバスで納沙布岬へ。
バスが出発してすぐに、大きな角の鹿が舗道に現れ、窓際で皆驚いていた。
45分ほどで納沙布へ着く。
日本の東端の灯台を囲む海は風が強く、波が荒れていた。
ついに、ここまで来たのだ!
3.7km先には歯舞群島が見えるがロシアに占拠されたままである。
ここで私は帰りのバスを逃してしまった。
次のバスまで2時間以上ある。
呆然として、おもむろにバッグから圧縮パックしたマフラーを取り出した。
松木